用語解説ページ


琉球美絣
りゅきゅうびがすり

琉球美絣は、白い糸をまず濃紺になるまで染める、いわゆる先染をしています。染料は沖縄独特の琉球藍で、これを発酵させた「泥藍」を用いております。染め上げた糸は、締機か手括りで絣を作り、脱色し手織りで織上げます。木綿は約8回、絹は約10回脱色しますが、回数は図柄によって異なります。
優美ないろどりの横段模様、ほんのり緑みを感じる黄色に淡い萌黄色、そしてふんわりとした薄桃の彩という繊細で上品な仕上がりの織りとなります。

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御所人形
ごしょにんぎょう

江戸中期に鑑賞用の人形として大成した御所人形は、朝廷から公家や大名家、門跡寺院などに下賜され、高貴な人々の間で愛されてきました。多種ある人形の中でも最も精密で品格が高いものとされています。
ここでご紹介する久重氏の御所人形は手間と時間のかかる木彫法によるもので狂いがなく、胡粉(ごふん)との相性がよい桐を乾燥させて用い、1年から数年がかりで完成させます。特に胡粉はにかわとの微妙な配合により天日に乾かしながら数十回も塗りかさね磨くことで、特有の光とつやを湛えた純然たる白色となる芸術性の高い作品です。

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加賀友禅
かがゆうぜん

国指定伝統的工芸品で、江戸時代中期に加賀藩にて栄えた加賀御国染を基に京友禅の創始者といわれる絵師・宮崎友禅斎が、晩年、金沢の加賀藩御用紺屋棟取であった太郎田屋に身を寄せ、加賀御国染に大胆な意匠を持ち込み、確立した染色技法とその作品をいいます。
加賀五彩(藍、臙脂、草、黄土、古代紫)とよばれる艶麗な色彩で知られ、柄は草、花、鳥等の絵画調のものが多く自然描写を重んじる中から「虫食い」等独自の装飾が生まれました。金沢市内を流れる浅野川では、工程最後のほうで余分な糊や染料を洗い流す友禅流しが見られます。

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錦織
にしきおり

金糸・銀糸や種々の色糸を用いて、華麗な文様を織り出した紋織物の総称です。先染めの紋織物で織物のデザイン画にあたる紋意匠図を作り、あらかじめ糸を必要な色に染めて織り出します。代表的なものに京都の西陣織があります。錦は振袖や礼装の帯に用いられるほか、袋物や法衣、人形衣装、舞台衣装、表具、能衣装にも利用されます。

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唐織
からおり

経(たて)糸に生糸を使い、地緯糸(じぬきいと・生地を織り出すための横糸)を三枚綾組織に織り込み、この間に各種の色の絵緯糸(えぬきいと・柄を織り出すための横糸)を刺繍のように浮かして文様を現わします。能装束に使われる重厚華麗な織物です。
能楽は室町時代、足利義満が公卿文化に対抗した武家文化として観阿弥清次、世阿弥元清親子を迎えたことに始まります。現実から遊離した幽玄の世界を演出するために絢爛豪華で、なおかつ舞台を滑るように移る静かな動きが要求されるため、薄手のしっかりした生地が必要とされました。唐織はまさに幽玄の世界を彩る装束にぴったりなのです。

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絞り
しぼり

手間暇をかけた古代から伝わる染めの技法。
括ったり、器具で挟んだりして防染し、染料で染めます。総絞りのきものは、一粒ずつ括っていく細かい作業のため、とても手間がかかります。
柄として使う絞りは作業時間も短時間であり、技としても絞れる人は多いのですが、総絞りは1反を一人の人が、1年から3年程度かけて 3 0 万粒以上絞るのですから桁違いの困難さで、総絞りが出来る人が殆どいない状態です。本鹿の子とは青花刷りの星に合わせて、指先で布施たたみ込み絹糸で 7回括ったものをいいます。4 回括ったものを中疋田、2 回括ったものを京極といいます。絞りのきものは希少価値の高い物ですが、正式な場には相応しくありません。紋付ではないので留袖より格下ですが、儀式などでなければ、訪問着としてどこにでも立派に通用します。

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袱紗(冨久紗)
ふくさ

昔、唐びつ(物を運ぶ為の入れ物)から広蓋(ひろぶた)が独立して用いられると、贈り物を届ける際、その道中での日除け、チリや汚れを避ける為、また体裁上の理由で布で覆い、あるいは風呂敷のようなもので包まれていました。江戸時代なると覆い布も立派になり、元禄の頃には裏を付けた現在の形になり、最高の裂で作られるようになりました。当初は覆い布として使われていた富久紗も、贈り物が盛んになると美的要素が付け加えられ、贈り主の贈る心を込めた絵柄の冨久紗が次々に作られました。柄を見れば相手の気持ちがわかるということから冠婚葬祭別の贈る目的に相応しい意匠文様を工夫し、動植物(松竹梅・鶴・鷲・鴛)、能(高砂や狸狸)、伝説・説話(鳳凰や宝船)、自然現象(日の出)等にその素材を求めました。大きさは、広蓋を覆うということから広蓋より2割程度大きな富久紗が使われました。江戸中期になると立派な冨久紗は見せたいが、そのままでは汚れやすいということから、贈り物を広蓋に載せ、富久紗を掛け、風呂敷で包む現在の形になりました。富久紗は、家紋を表とし絵柄を裏とするのが正式な形ではありますが、現在では絵柄を略した紋のみの富久紗なども使われています。

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琉球紅型
りゅうきゅうびんがた

沖縄の染色技術は最も古く、「びんがた」 以前に首里・浦添を中心に婦人の礼装として神事に着用された琉球王布があります。浦添型といわれる摺込みの手法で染められた技法です。14、15 世紀の頃には東南アジア等への海外貿易により、印度やジャワ更紗の技法を取り入れ、沖縄独特の気候風土の自然の中で育まれ、琉球独特の染物として、華麗にしてしかも典雅な 「びんがた」 の誕生を得たといわれています。世界の人々から比類のない染物として重宝され、県の重要な伝統工芸品として生産されるに至り、着尺、帯、室内装飾品等が生産されています。

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几帳
きちょう

平安時代以降公家の邸宅に使われた、二本のT字型の柱に薄絹を下げた間仕切りの一種。

簾の内側に立てて二重の障壁とするほか、可動式の間仕切り・目隠しとして大きな部屋の仕切りに使ったり、参拝の折など高貴の婦人の身を衆目から隠す障壁、荷物などを見苦しくないよう隠しておく目隠しなどとしてわりに広い用途に用いられました。几帳に用いる薄絹を「帷(かたびら)」といい、帷には普通は紐や表裏ともに平絹を使いますが表地にのみ綾を使ったこともあり、上部を筒型に縫って横木を通し縫った上刺しの紐の余りは蜷結びにして長々と垂らし、絹布一枚ごとに紐で吊るして中央に「野筋(のすじ)」という紅(後には黒と紅の分割)の飾り紐を垂らします。

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